2024年3月15日
・スルガ銀行の不祥事を受けて、地方銀行の多くが不動産融資の拡大には慎重姿勢を強めてきたが、近年の厳しい経営環境の中で、収益のあがりやすい不動産融資に頼る傾向が浮き彫りになってきている。
・全国の地方銀行の103行の内、59行の融資残高が1年前に比べて増えている。
シェアハウスを巡る投資トラブルでスルガ銀行の不正融資が発覚し、多くの地方銀行では審査体制の見直しなど融資の厳格化が進んできたが、一方、2019年3月末時点での不動産担保融資は、1年前に比べて融資残高が増えた地方銀行は59行に上った。
多くの地方銀行では未だに投資用不動産に依存していることが鮮明になった。
・地方銀行にとっては投資用不動産は、人口減少や低金利で収益源が先細りとなるなかで数少ない成長分野となっている。
アパート等への投資用不動産への融資額は1億円を超える金額になることが多く、又、節税対策のため土地所有者や副収入を得たい人による借入れのニーズは根強くある。
・地方銀行では、投資用不動産は、担保となる不動産も手堅く、手っ取り早く融資が伸ばせるとの声も多い。
ただ、不動産会社などから持ち込まれる案件の中には、ずさんなものも多いことも事実で、今後も融資審査の見直し等の管理体制の構築が課題となっている。
・多くの地方銀行は将来の事業モデルについて、融資やコンサルティング業務により、地元の中小企業の成長を指示する、地域密着型金融を掲げており、金融庁もこうした事業戦略を後押ししている。
ただ、収益化にはまだまだ時間を要するため、目先の融資先として不動産担保融資の分野は、依然として魅力的な分野となっている。