新型コロナウィルスによる影響が拡大している。
毎日のように新たな感染者情報が公開され、マスクは今も尚品薄の状態が続いている。
テレワークや時差通勤を導入する企業が相次ぎ、大型テーマパークも休園を決定、政府が全国の学校に臨時急行を求めると言う異例の要請も行われた。
そうした状況下、株価の下落や企業の経営破綻など経済へのダメージも顕在化し始めているが、
不動産業界にはどのような影響が考えられるだろうか?
現在の影響や実際におきている現象をまとめた。
中国からの部品供給ストップで「リフォーム工事ができない為STOP」と様々な影響が出ている。
特に目立ったのは、トイレやユニットバスなど、水周り関連設備の不足による影響だ。
ちょうどリフォームや新築の工事が進んでいたところにこの騒動が重なり、大幅な工期の遅れが出ているという声が多数聞かれた。住宅設備の納期が遅れている背景には、製品によってはそのほとんどが中国で生産されている、という事情がある。
個人投資家と同じく、不動産会社にも設備の品不足の影響が出ている。
中部地方で収益物件の売買・管理を行う不動産会社のA氏は「中国から輸入されている温水便座や、キッチン周りの資材などが入ってきておらず現状回復工事に遅れが生じているようだ」と話す。「トイレは、日本の大手メーカー3社が国内のシェアを9割握っていると言われますが、その3社に部品を提供する中国の工場がすべてストップしている。再稼働の見込みも立っていないようです」
こうした設備の納品遅れ以外にも、「内見がキャンセルになった」「入居者からの問い合わせが減った」といった直接的な影響を訴える声もあった。
またA氏は、オーナーの賃料収入に影響が及ぶことを懸念している。
自社が管理するテナント物件の飲食店経営者から「外食を控える人が増え、客足が鈍っている。家賃の支払いが遅れる」と連絡があったという。この物件の賃料は月額20万円弱。このまま自粛ムードが続けば、長引く可能性も考えられる。民泊や簡易宿所などを運営する投資家からは、「インバウンド需要の減少により大ダメージを受けた」といった悲痛な声も聞かれた。
一方、新型コロナウイルスによって不動産価格が下落する、と見る投資家も少数ながらいるようで、
「コロナショックから世界的な景気悪化が進み、不動産価格の下落につながると思われる」
(埼玉県/40代/男性)
「消費増税にコロナショックでデフレ経済が深刻化する可能性がある。良い物件が市場に出てきそうなので、投資チャンスが期待できる」(神奈川県/50代/男性)
といった回答もあった。
今後の先行きについては「(新型コロナウイルスの)有効な治療法が確立されれば、
他の感染症などと同じ扱いになる。そうなれば、影響は縮小していくと思う」と話した。