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不動産担保ローンは家族・親名義でも融資可能?確認しておきたいポイントと注意点

不動産担保ローンを利用するにあたり、「親名義の不動産を担保にしたい」と考えている方はいらっしゃいませんか?
不動産担保ローンは、担保として不動産を提供するのがルールですが、もし自分の所有する不動産ではない場合、担保として認められるのか気になるところでしょう。
そこで、今回は不動産担保ローンを利用するにあたり、「親名義の不動産でも融資を受けられるのか」をご紹介します。

不動産担保ローンは「親名義の不動産」でも認められるの?

結論から言いますと、不動産担保ローンでは親名義の不動産を担保とすることが認められています。
担保と聞くと「自分が所有している不動産しか認められないのでは…」といったイメージがありますが、実際は親名義であっても問題はありません。

不動産担保ローンの名義は一般的に3親等までは可能

不動産担保ローンは、土地や建物などの不動産を担保にして資金を借り入れられるローンです。通常、無担保ローンよりも低金利で提供され、大きな資金を準備する際に便利なローンです。長期にわたる返済計画が立てられるため、事業拡大をはじめとした様々な用途に利用されます。

担保となる不動産の名義に関しては、必ずしもローン契約者自身の名義である必要はありません。一般的には、3親等以内の親族名義、または親族と共有名義の不動産も担保として利用できます。以下は、3親等以内の親族の例です。

  • 1親等:実父と実母、配偶者、義父と義母、子と子の配偶者
  • 2親等:本人と配偶者の祖父母、本人と配偶者の兄弟姉妹、孫と孫の配偶者、本人の兄弟姉妹の配偶者
  • 3親等:本人と配偶者の曾祖父母、ひ孫、本人と配偶者の叔父と叔母、本人と配偶者の甥と姪、本人の甥と姪の配偶者

ただし、ローンの条件や取り扱いは金融機関やサービスによって異なるため、具体的な条件については各サービスの詳細を事前に確認しましょう。担保となる不動産の名義について不明点がある場合は、事前に金融機関に相談することで、スムーズなローン利用が可能になります。

不動産担保ローンは親以外の名義も認められる?

不動産担保ローンは親以外の名義の不動産も担保として認められます。
例えば、祖父母や兄弟、配偶者といった親族所有の不動産の他、自身が経営する会社の役員が所有する不動産も不動産担保ローンの担保にできるのです。
必ずしも「親名義しか認められない」というわけではありませんので、覚えておくと良いでしょう。

共有名義・共有持分の概要

「共有名義」とは、夫婦や兄弟姉妹など複数人の所有者が一つの不動産を共同で所有している状態を指します。共有名義の不動産には、それぞれの所有者がどれだけの割合でその不動産を所有しているかを示す「共有持分」が存在します。例えば、夫婦で共有名義の家を持っている場合、夫と妻がそれぞれ50%ずつ所有している場合、この50%の割合が共有持分です。不動産担保ローンにおいても、共有名義の不動産を担保にすることは可能です。ただし、共有名義の不動産を担保にするケースならではの注意点があります。

共有名義の場合、複数人の所有者の同意が必要です。各所有者が融資の契約に関与するため、手続きが複雑になる可能性があります。所有者の間での合意が取れていない場合や、共有持分に対する証明が不十分な場合には、融資が難しくなるおそれがあるでしょう。共有名義の不動産を担保にする場合は、各共有者の合意をしっかりと確認し、金融機関との調整を慎重に行うことが大切です。融資を検討する際は、事前に十分な情報収集をして、専門家のアドバイスを受けることで、スムーズな手続きを心がけましょう。

具体的なケース1:親名義の不動産を担保にする

不動産担保ローンを利用する際に、親名義の不動産を担保にするケースがよくあります。ここでは、親名義の不動産を担保にする際の具体的なケースを詳しく見ていきましょう。

相続の予定がある親名義の不動産の場合

相続予定の親名義の不動産を担保に不動産担保ローンを利用する際、名義変更が必要かどうかを心配する方も多いでしょう。将来的に相続する予定がある場合、先に名義変更をして自分名義で不動産担保ローンを利用するほうがよいと考えるかもしれません。

しかし、名義変更を行うと贈与と見なされ、贈与税が発生する可能性があります。そのため、名義変更せずに親名義のままで不動産担保ローンを申し込むほうが、無駄な税負担を削減できるでしょう。相続予定の不動産を担保にする場合は、税金の負担を減らすために名義を変更せず、そのままローン契約を進めるのも一つの手段です。

名義人となる親が高齢の不動産の場合

親が高齢である場合、親名義の不動産を担保にして不動産担保ローンを契約できない可能性があります。金融機関では、連帯保証人の年齢に制限を設けている場合があるためです。年齢制限の理由としては、返済能力の低下や、判断能力の衰えなどが挙げられます。また、認知症の診断を受けている場合は、連帯保証人としての適格性が欠けるため、融資の契約が難しくなることもあるでしょう。

そのため、親が高齢の場合は、年齢制限の幅が広い不動産担保ローンを探す必要があります。ある金融機関では、申込時70歳以下、完済時85歳未満という比較的広い年齢層を対象とした不動産担保ローンを提供しており、年齢や融資額に応じて適切な返済期間を設定しやすくなっています。

亡くなっている親名義の不動産の場合

親が亡くなっている場合、親名義の不動産は相続の対象です。遺産分割協議において不動産を相続することが決まった場合、名義変更を経て自分名義の不動産として不動産担保ローンを契約できます。もし、遺産分割協議で不動産を相続するのが自分でなく、配偶者や兄弟姉妹が相続した場合には、その所有者の合意があれば不動産担保ローンを契約することも可能です。

親名義の不動産を担保にする事例

佐藤さん(45歳)は、父親(70歳)名義の築30年の一戸建て(評価額3,000万円)を担保にして、事業資金2,000万円を融資したいと考えています。この場合、田中さんは父親の同意を得て、不動産担保ローンへの申し込みが可能です。しかし、以下の点に注意が必要です。

  • ・連帯保証人の必要性:父親が連帯保証人となる必要があります。
  • ・返済期間の制限:父親が高齢のため、返済期間は最長でも15年ほど(父親が85歳になるまで)に制限される場合があります。
  • ・金利の設定:金利は通常2〜4%ほどですが、親名義のため若干高めの3.5%と設定されることも。
  • ・月々の返済額:2,000万円を15年、年利3.5%で借りた場合、月々の返済額は約14万円です。

具体的なケース2:子の不動産を担保にする

子どもの不動産を担保にして不動産担保ローンの契約は可能です。子どもが担保提供者となり、親が融資を受ける形になります。子どもの不動産を担保にするケースは、親の不動産を担保にする場合と比較して、返済能力の点で有利になる場合があります。子どもの年齢がまだ若く、安定した収入を得ている場合、融資契約を有利に進めやすい傾向があるでしょう。

ただし、子どもは社会経験や知識が親よりも少ないケースが多いため、不動産を担保に入れることや連帯保証人になることの重要性を十分に理解していない可能性があります。そのため、契約前に親子で十分に話し合い、担保にすることの重大さを共有することが大切です。事前に知識を身につけさせ、情報を共有しておくことで、後々のトラブルや誤解を防げるでしょう。

子の不動産を担保にする事例

鈴木さん(60歳)は、長男(35歳)名義の評価額4,000万円、住宅ローン残高1,500万円のマンションを担保に、自らの事業資金1,500万円を融資したいと考えています。このケースでは、以下の条件で融資を受けられる場合があります。

  • ・同意と連帯保証:親が融資を受けるためには、長男が契約に同意し、連帯保証人として責任を負う必要があります。
  • ・担保評価額の調整:マンションの評価額4,000万円から、既存の住宅ローン残高1,500万円を差し引いた2,500万円が実質的な担保額です。不動産担保ローンでは、実質的な担保額を元に融資額が設定されます。
  • ・返済期間:返済期間は最長で20年(鈴木さんが80歳になるまで)に設定できます。これにより、長期にわたる計画的な返済が可能です。
  • ・金利設定:子ども名義のため、金利は比較的低く、2.8%ほどに設定されるケースが多いようです。低金利により、返済負担が軽減されます。
  • ・月々の返済額:1,500万円を20年、年利2.8%で借りた場合、月々の返済額は約8.2万円です。

具体的なケース3:配偶者や兄弟との共有名義の不動産を担保にする

不動産が単独名義ではなく、配偶者や兄弟姉妹などと共有名義である場合でも、不動産担保ローンを利用することは可能です。例えば、相続によって兄弟姉妹と共有している実家や、夫婦でお金を出し合って購入した自宅などが共有名義に該当します。共有名義の不動産を担保としてローン契約を行う際には、いくつかのポイントに注意する必要があります。

共有名義の不動産を担保にする場合、自分の持分のみを担保として契約できる場合もありますが、他の共有者の同意なく契約するのはおすすめできません。万が一返済が滞った際には、金融機関が債権回収のために他の共有者に連絡をとる可能性があり、共有者に迷惑がかかってしまうおそれがあるためです。トラブルを避けるためにも、不動産担保ローン契約について他の共有者としっかり話し合い、合意を得ておくことが大切です。

配偶者や兄弟との共有名義の不動産を担保にする事例

兄妹で相続した住宅ローン完済、持分は2分の1ずつの実家の戸建てを、妹が不動産担保ローンの担保にしたいと考えている事例を考えてみましょう。妹は兄の同意を得て、兄の持分を買い取る資金も含めた融資を受ける必要があります。持分を買い取るための資金準備が難しい場合もあるでしょう。

買い取り資金を含めた金額の準備が難しい場合は、遺産分割ローンの利用も一つの手段です。遺産分割ローンは、共有持分の買い取り資金や親族間の売買にも利用できるため、スムーズな手続きが実現するでしょう。資金調達のために売却を希望する際の選択肢として、遺産分割ローンはおすすめといえます。

不動産担保ローンで「親名義の不動産」を提供する際の注意点

不動産担保ローンでは、親名義の不動産を担保として設定することができますが、いくつか注意点があります。
金銭トラブルに陥ってしまうリスクもありますので、しっかりと注意点を把握しておきましょう。

親から不動産を担保にする了承を得る

親名義の不動産を不動産担保ローンの担保とする場合、親から了承を得る必要があります。
無許可で不動産を担保にしてしまうと、トラブルになってしまうだけでなく、手続きもスムーズに進まず、問題が生じてしまいます。
また、親名義の不動産を担保にする場合は「連帯保証」が必要となるため、そもそも無断で不動産を担保にすることはできません。
不動産担保ローンで、親名義の不動産を担保にすることを検討している方は、まずは親からの同意を忘れないようにしましょう。

不動産担保ローン会社によっては認められない

不動産担保ローン会社によっては、親名義の不動産を担保にできない場合がありますので注意してください。
現在は、ほとんどの不動産担保ローン会社が「親名義の不動産を担保にすること」を認めていますが、中には融資条件が厳しく「本人所有不動産のみ可」としている会社もあります。
不動産担保ローンで親名義の不動産を担保にするのであれば、不動産担保ローン会社の融資条件を調べておくと安心です。

所有者が高齢の場合は別途審査がある

不動産担保ローンで親名義の不動産を担保として提供するにあたり、所有者である親が高齢の場合は別途で審査が必要となることがあります。
なぜなら、親が「正常な判断ができない高齢者」である場合、適切に判断できなかったことから、所有者が損害を被ることが考えられるからです。
仮に親が認知症などではなくても、場合によっては別途で審査が発生することを頭に入れておきましょう。

 

 

不動産担保ローンは親名義の不動産でも担保にできる!

今回ご紹介した通り、不動産担保ローンは親名義の不動産でも担保にできるケースがほとんどです。
そのうえ、担保名義が仮に融資希望者本人ではないことが、融資上限額や返済期間などに影響することはありませんので安心です。
とはいえ、親名義の不動産を担保とする場合は、いくつか注意点もありますのでしっかりと把握しておかなければなりません。
現在、不動産担保ローンで親名義の不動産を担保とすることを検討している方は、本ページの内容を参考にしてみてください。

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この記事を書いた人

コラム(お役立ち情報)編集部

コラム(お役立ち情報)編集部

ファイナンスや不動産業での知識と経験豊富なスタッフ(貸金業務取扱主任者や宅地建物取引士の有資格者)が中心となり、公認会計士事務所・弁護士法人・司法書士法人等の専門職の方からの意見やアドバイスを取り入れ、日々、執筆と監修を行っております。