・首都圏では中古のマンション取引が主役になっている。
中古マンションの成約件数は新築の供給戸数を2018年まで3年連続で上回っている。
長く新築が中心だった市場に起きた変化の背景には、首都圏の土地の供給事情と買い手の意識が変わってきたことが浮かび上がる。
・東日本レインズによると、2018年の中古マンションの成約件数は3万7217戸で、不動産経済研究所がまとめた新築供給戸数の3万7132戸をわずかだが上回った。
5年前には新築が中古を2万戸も上回っており、中古が主役となる状況が3年も続くのは異例なことだ。
・逆転となった原因の一つが新築価格の高騰が上げられる。
不動産経済研究所のデータをもとに計算すると、2018年は首都圏の新築の坪単価の平均は290万円で、2008年に比べ30%以上上昇した。
東京オリンピック関連の建設も重なり、作業員確保が難しくコストが増大した。
・東京23区の新築価格は平均7142万円で横ばいだが、不動産会社が買い手が付きにくくなることを恐れ、面積を狭くして価格を抑えた物件を提供しているためで、一方、中古の坪単価は東日本レインズのデータをもとに計算すると首都圏で平均、170万円にとどまる。
・首都圏では1994年から2007年までの多くの年で、新築の供給が8万戸を超える時代が続いた。バブルが崩壊し、企業が資産リストラにより一等地の売却を進めたことで、不動産会社による大量の建設を呼び込んだ。
・新築マンションは10年ほど経つと家族形態の変化などから、売却を考える人が増え始めた。
東日本レインズによれば、首都圏の中古マンション成約物件の平均築年数は21年(2018年時点)8万戸時代の物件は築10年~20年超の売却が活発な時期となり、2018年の中古物件の売り出し登録数を初の20万件超に押し上げた。
・若い世代は中古マンションへの抵抗感が薄れてきており、リノベーション向けローンや品質認定制度の普及も購入につながっている。